データトラフィックを傍受する新しい Wi-Fi 攻撃
2024 年 8 月 20 日 Kirk Jensen 著
ネットワークや接続デバイスの複雑化により、効果的なサイバーセキュリティの実装はますます困難になっています。近年、企業はセキュリティ態勢を強化する必要性を一層認識するようになっていますが、根本的なサイバーハイジーンに関する問題には依然として対処する必要があります。
研究者はこのところ、無線アクセスポイント(WAP)とルーターが、企業にとって最も重大なセキュリティリスクをもたらすデバイスのひとつであるとの警告をしています。残念ながら、1 年前の記事でも指摘したこの懸念は消えていません。さらに、サイバー犯罪者が IEEE 802.11 Wi-Fi 規格の欠点を悪用して正規のネットワークと同じ名前の偽の Wi-Fi ネットワークを作成する SSID 混乱攻撃など、新たな手法も出現しています。これにより、デバイスは正規のネットワークではなく、不正なネットワークに接続するよう騙される仕組みになっています。つまり、デバイスが信頼できるネットワーク上で VPN を無効にするように設定されている場合、偽のネットワークに接続する際には自動的に無効化され、ユーザのトラフィックが公開されることになります。これにより、ハッカーはユーザの機密情報を傍受・閲覧することが可能となり、ユーザのセキュリティが著しく損なわれます。
これらのデバイスが潜在的な脅威となる原因
デフォルト設定の利用:
多くのデバイスは、インストールや初期使用を容易にする設定であらかじめ構成されていますが、これはサイバー攻撃に対する脆弱性にもなっています。脆弱なパスワード、保護されていないオープンポート、不必要に有効化されたサービスなどは、最も脆弱な設定のひとつです。ユーザがこれらの設定の変更を怠ると、あらかじめ設定されたアクセスポイントが、サイバー犯罪者に悪用される可能性のある弱点となります。
ファームウェアのアップデート漏れ:
ファームウェアとは、デバイスの内部メモリにあるソフトウェアで、起動、ハードウェア管理、ソフトウェアとの通信などの主要機能を制御するものです。ファームウェアを常に最新の状態に保つことは、 IT 機器のセキュリティを守るために不可欠です。古いファームウェアは、攻撃者が機密情報へのアクセスを行ったり、デバイスを制御したり、あるいはネットワーク上にマルウェアを拡散するために利用できる脆弱性を露呈します。
ネットワークへの常時接続:
デバイスの常時接続は、サイバー犯罪者に継続的なアクセス経路を提供します。多くの場合、ファイアウォールやネットワークインフラの適切なセグメンテーションといった必要な保護対策を講じることなく、インターネットに直接接続されています。
重要なインフラストラクチャ:
ルーターと無線アクセスポイントは、企業の重要なインフラストラクチャの必須コンポーネントであり、ネットワークと外部とのゲートウェイとして機能します。攻撃者がこれらのデバイスを侵害すると、ネットワークの大部分や他の接続デバイスにアクセスできるようになります。
監視と管理の欠如:
これらのデバイスはビジネス上重要であるにもかかわらず、ネットワークセキュリティにおける重要性に気づかれないことがしばしばあります。適切な監視と管理が行われていないため、セキュリティの盲点となっている可能性があります。適切な可視性を提供するツールを導入することで、異常なアクティビティ、侵入の試み、その他の侵害指標を検出することができます。
ルーターや無線アクセスポイントなどの IT デバイスは、企業ネットワークの接続に不可欠である一方で、サイバー脅威の潜在的なゲートウェイでもあることを認識することが重要です。これらの重要なポイントを保護するように設計されたサイバーセキュリティソリューションを導入することは、今日の脅威の状況において必要不可欠です。
集中管理と監視、自動セキュリティ更新、強力な暗号化と認証を提供するツールを導入することで、安全な無線環境を確保することができます。さらに、侵入防御、アプリケーション制御、Web フィルタリング、スパムブロックなど、包括的な脅威防御を提供する高度なファイアウォールを使用することが、これらのデバイスを潜在的な攻撃から保護するための鍵となります。現状の課題に対処し、安全な企業ネットワークを実現するためには、プロアクティブで堅牢なサイバーセキュリティ体制を維持することが欠かせません。
信頼性のある無線環境の導入方法についてのさらなる詳細は、以下の記事をご覧ください。
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