2024/11/21

リモート監視・管理(RMM)ツールと専用のパッチ管理ソリューションの比較

2024 年 11 月 21 日 Carlos Arnal 著

サイバー攻撃がますます予測不能になり複雑化する中、サイバーセキュリティには基本的な戦略以上の対策が求められています。敵の一挙手一投足を予測するプロアクティブなアプローチが必要である、ということです。ユーザからこの重要な使命を託された多くの MSP は、潜在的な攻撃を防止、検出、対応し、環境や組織のニーズの変化に応じて適応できる、適切なテクノロジを備える必要があります。

継続的なパッチ適用サイクル管理は、組織のセキュリティ脆弱性を軽減するので、プロアクティブなアプローチにとっては非常に重要な要素です。MSP にとっては、ユーザのシステムのソフトウェアアップデートとパッチを管理するために、リモート監視および管理(RMM)ツールを使用する、あるいは特定のパッチ管理ソリューションを導入する、という選択肢があります。どちらのソリューションも、ユーザがシステムをプロアクティブに監視し、潜在的な脅威を予測することで脆弱性を最小限に抑えることを可能にします。

では、運用のセキュリティと効率を最大化するためには、どちらが最適な選択肢なのでしょうか。

RMM によるパッチ管理

RMM は、MSP が集中コンソールからリモートでデバイスやネットワークを監視、管理、トラブルシューティングできるようにします。監視、管理、パッチ適用作業を単一の環境で行いやすく、すべてのネットワークデバイスを管理するための便利なソリューションです。ほとんどの RMM ソリューションには、特定のパッチをスケジューリングするための限定的な自動化機能も含まれており、これは基本的なパッチ適用に役立ちます。しかし、一元的な管理を提供し、デバイスやシステムをリモートで制御するという点では価値があるものの、以下のような制限や課題により、複雑なシナリオにおいては、パッチ機能が不十分となる可能性もあります。

  • パッチ管理機能が基本的なものにとどまる:多くの RMM ツールは標準的なパッチ適用オプションしか提供しておらず、高度なパッチの優先順位付け、カスタムスケジューリング、各パッチの有効性の自動検証など、専用のパッチ管理ツールが備えているような高度な機能はありません。
  • 重要なセキュリティケースにおける制限:RMM の中には、必要不可欠なセキュリティ機能を組み込んでいるものも存在します。しかし、RMM の主な目的はシステム管理であるため、リスクを詳細に評価、検出し、重要度に応じてパッチの優先順位を決定するといった能力には限界があります。サイバー攻撃が発生した場合、RMM はセキュリティツールと統合されていないため、統一された見解が得られず、リアルタイムの封じ込めと修復が複雑になり、伝播のリスクが高まるなどの制約があります。統合された可視性を持たない場合、このようなシナリオで脆弱なデバイスを迅速に特定することは難しく、アクティブな脅威への効果的な対応が妨げられます。
  • 制御と自動化の限界: RMM はある程度の自動化を可能にしますが、パッチ展開の制御には限界がある場合が多くあります。これらのソリューションは、特定のソフトウェアセットに焦点を当てていることが多く、異なる OS やソフトウェアのパッチを自動的に識別してインストールする機能や、パッチ適用後にコンフリクトやエラーが発生する可能性のある、実装前に管理された環境でテストを実施する機能が欠けています。
  • サードパーティ製アプリケーションのサポート範囲が限定されている: 多くの RMM は、標準的なアプリケーションのサポートしか提供していないため、サードパーティのソフトウェアアプリケーションのパッチを処理する能力が制限されています。これは、多種多様なソフトウェアがインストールされている組織では問題となります。
  • 規制対応の難しさ: 規制のある業界では、企業は高度なセキュリティとパッチ管理の文書化を適切に行わなければなりません。RMM は、PCI DSS、HIPAA、GDPR などの規制に準拠するために必要なレベルの詳細を提供できない場合があります。

専用のパッチ管理ツールの場合

RMM を使用した直接的なパッチ適用アプローチと比較して、専用のパッチ管理ツールは重要な部分で大きく有利であると言えます。

  • 高度な自動化と集中監視:専用のパッチ管理ツールは、システム内の脆弱性の検出を自動化し、パッチインストールタスクや重要なアップデートの優先順位付けと頻度の定義を行い、効率的なセキュリティ管理を実現し、手動プロセスへの依存を低減します。また、単一のダッシュボードを使用してすべてのデバイスのセキュリティ状態を監視できます。 これにより、既知の脆弱性、保留中のパッチ、未サポートまたはサポート終了したソフトウェアが完全に可視化され、素早い対応が可能になります。
  • 包括的な脅威の封じ込めと対応:エンドポイントセキュリティのアドオンモジュールとして一般的に提供されている専用のパッチ適用ツールは、重要な脆弱性に直接かつ具体的に対処するように設計されています。エンドポイントセキュリティソリューションと統合することで、即時のパッチ適用と管理、および脆弱性のあるマシンに対する調整された封じ込めと修復アクションの組み合わせが可能になり、連続性のある対応が保証されます。脆弱性とセキュリティイベントを一元的に可視化することで、迅速かつ正確に行動し、リスクのあるマシンを特定して隔離し、通信を遮断しながら攻撃の拡大を防ぎ、脅威に対処することができます。
  • サードパーティアプリケーションを幅広くカバー:サードパーティ製ソフトウェアやカスタムソフトウェアを含むさまざまなアプリケーションをカバーし、 インフラストラクチャ全体の潜在的な侵害に対する包括的な保護を保証します。
  • 法規制コンプライアンスのサポート:専用のパッチ管理ツールは、効率的なパッチ管理を維持できる高度な機能を提供します。さらに、パッチやデバイスのインベントリ、アクティビティ追跡、現在のパッチ適用状況の把握などの貴重な情報を提供し、厳格な管理と更新プロセスを必要とする PCI DSS、HIPAA、GDPR などの規制基準への準拠を支援します。
  • コスト削減と運用の簡素化:専用のパッチ管理ツールを利用することで、エージェントを追加することなく既存のインフラストラクチャに統合し、クラウドコンソールからのリモートアップデートが可能となるため、運用の負担を最小限に抑えることができます。

WatchGuard Patch Management は、MSP にとって、ソフトウェアの脆弱性を効果的かつ詳細に管理する高度なソリューションの好例です。RMM と専用のパッチ管理の両ツールは、企業のインフラストラクチャを管理し、セキュアな状態にする上で非常に重要です。しかし、専用のパッチ管理ソリューションであれば、システムの保護に対する完全なコントロールが可能となり、セキュリティを最大化し、ユーザの要求に応じた効率性を実現することができます。WatchGuard Patch Management の高度な機能と WatchGuard EPDR を組み合わせることで、MSP は両ソリューションの長所を組み合わせ、より包括的で効果的な保護を提供することができます。

セキュリティオペレーションを最適化する手段を探しているサービスプロバイダや MSP であれば、パッチ管理にも戦略的なアプローチを採用することで、大きく状況を変えられる可能性があります。マネージドパッチ管理サービスの導入は、運用効率を高めるだけでなく、セキュリティソリューションポートフォリオを強化するものでもあります。

このトピックについてのさらなる詳細や、これらのアプローチを提供サービスに統合する方法については、当社のパートナーブリーフをご覧いただくか、関連記事をご覧ください。

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