情熱とビジョン、プロダクトマーケティング戦略の鍵となるさまざまな要素
2020 年 4 月 1 日 Milena Babayev-Gurvits 著
筆者が自己紹介で職業について説明すると、必ず聞かれることがあります。「プロダクトマネージメントとプロダクトマーケティングはどう違うのですか?」と。本質的な意味で言えば、プロダクトマネージメントは製品とその開発やライフサイクルの管理をすることに特化しており、プロダクトマーケティングは製品を消費者に届けることに特化しています。
筆者は過去 15 年間以上、テクノロジ業界のさまざまな分野で働いてきました。コンタクトマネージメントとリードジェネレーション(Market Leader)、ソフトウェア関連(Microsoft)、通信会社(AT&T)、インシュアテック(Vertafore)、そして現在のサイバーセキュリティ分野(WatchGuard Technologies)です。働く場所に拘わらず鍵になるのは、プロダクトマネージメントとプロダクトマーケティングのどちらも、製品のビジョンという同じ地点からスタートする点で共通だということです。プロダクトマーケターは、プロダクトマネージャーと緊密に繋がっていなければなりません。そして同じビジョンと、情熱、製品の最終形を共有すべきです。そうでなければ、プロダクトマーケティングはうまくいきません。プロダクトマーケターは、プロダクトマネージメント、セールス、マーケティング、サポートの全てにおいて、タッチポイントの中心ともなります。
ウォッチガードで筆者は セキュア無線 LAN 製品ポートフォリオのプロダクトマーケティングを率いています。その仕事は、シンプルな Wi-Fi セキュリティのメリットを顧客に届け、ユーザや組織を危険な Wi-Fi の脅威から守ることです。以下に紹介するのはプロダクトマーケティングの仕組みをフルに活用するために鍵となる 6 つの要素です。次のマーケット戦略を練る際に、ぜひ参考にしていただければと思います。
マーケット分析:
まず、マーケットのサイズ、主な競争相手は誰なのかを把握する必要があるため、調査をします。マーケット調査によって、ユーザが欲しているものとすでに使っている商品が判明します。筆者がこの調査の資料として使用する主なレポートは、Gartner 社、IDC 社、MarketsAndMarkets 社のものです。競合調査では、どこが同じような製品を作っているか、また場合によっては、対象としている顧客も判明します。市場調査のあとは、SWOT 分析(強み、弱み、機会、脅威の頭文字をとったもの)をすることで、市場での製品の位置づけの分析を始めることができ、価格を見直し、最終的には製品の将来的な方向性を決める手がかりを得ることができます。
ターゲット層:
マーケット調査が終わったら、購買者のペルソナを想定しましょう。これは、製品を買ってくれる平均的な顧客像のことです。現時点の顧客や見込み客に聞き取りを繰り返し、購買者のペルソナに以下の特徴を与える必要があります。
- 年齢
- ジェンダー
- 学歴
- 職業
- 目標
- 挑戦
- 動機
- 個人的特徴
ポジショニングとメッセージ:プロダクトメッセージ全般は、エレベータピッチ、つまり 1 分以内に説明できなければなりません。そして顧客にとってのメリットを伝えることが最優先であり、製品の特徴については控えめにするべきです。購買者のペルソナに訴求できるキーワードを使っているでしょうか? そのメッセージはブランドの価値を反映していますか?メッセージの骨子が決まったら、それをさまざまな業界、ターゲットオーディエンスなどによって、メリットを分けて考えます。
プロモーションプラン:
プロモーションプランをまとめる際には、いくつかのセクションに分けて考えます。
- ローンチまでの全体のプラン:
内部と外部の活動をタイムラインと日付と目標で整理し、それぞれに人員を割り振る。セールストレーニングや Web セミナー、ローンチアクティビティ、デマンドジェネレーションアクティビティも含みます。 - コンテンツ制作:
今のところ最も効果的なマーケティング戦略です。ランディングページ、ブログ、ビデオ、ポッドキャスト、Web セミナーなどが挙げられます。効果的なコンテンツマーケティングには、SEO 対策や、ソーシャルメディアが必要になってきます。(デマンドジェネレーション戦略の項で説明) - Web サイトインパクト:
新しいプロダクトページ、データシート、カタログ、説明ビデオは必要でしょうか? すでに公開しているメッセージや画像の更新は必要でしょうか? - デマンドジェネレーション戦略:
ブランドの認知度を上げるための複数のチャネルと、リードジェネレーションのためのオーガニック検索、メール、ソーシャルメディア、ペイドメディア、オウンドメディア、企業サイトなどが考えられます。デマンドジェネレーション戦略を立てる際にはアクティビティを組み合わせることが推奨されますが、本当に集中すべき部分を考え、どのチャネルが過去にうまくいったかを考慮しましょう。
セールスイネーブルメント:
セールス部門は、顧客と対話して、製品を販売する態勢は整っているでしょうか? 交渉をうまく運ぶための準備は整っているでしょうか? 筆者の営業部門では、発売前に必ず、メッセージマップ、機能やメリットが記載された製品のピッチデッキ、価格設定、製品デモ、そのほかバトルカードの準備ができているかどうかを確認しています。また、プロダクトマーケターはセールス部門を励ます存在でもあり、セールスサイクルを通して連携し、全員が同じ成功を目標としていることを常に意識させます。
プロダクトの成功:
製品が生産され市場で売り出されたあと、プロダクトマーケターとしては、何が効果を上げていて、何が効果を上げていないのかを観察しなければなりません。常にマーケティング戦略の最適化を行います。そのためには売上高を追跡することも有効ですが、一番重要なのは、顧客の声に耳を傾けることです。このフィードバックを集めるにはさまざまな方法があります。顧客に直接メールを送ったり、サポートの内容を見たり(あれば)、調査を送ったり、プロダクトマネージャーと顧客訪問をしたり、または顧客に一番近い位置にいるアカウントマネージャーに聞くのもよいでしょう。
要約すると、確固としたプロダクトマーケティング戦略が重要であり、またカスタマーファーストでなければならないということです。筆者は、お客様が安全に Wi-Fi を使用してほしいと思っています。Trusted Wireless Environment の上に成り立つ安全な Wi-Fi 接続をより普及させ、ユーザがデータ漏洩を心配しなくてもすむように注力しています。請願書に署名して、この世界をより安全な場所にするための活動に参加することもできます。
次のプロダクトマーケティング戦略を立てる上で生じた疑問に、お答えいたします。質問があれば、コメント欄にお願いいたします。
(元記事:https://www.secplicity.org/2020/04/01/passion-vision-and-other-key-factors-of-a-successful-product-marketing-strategy/)