2025/03/21

サービスパッケージにパッチ管理を組み込む

2025 年 3 月 21 日 Carlos Arnal 著

サイバー犯罪者が常に脆弱性を狙っているという事実は、もはや常識となっています。それゆえ、近年ではパッチ管理の重要性が一層高まっています。実際、Verizon の 2024 年版 Data Breach Investigations Report(データ侵害調査報告書)では、前年と比べて 180% という大幅な増加が報告されており、しっかりとしたパッチ管理体制の必要性が浮き彫りになっています。

このような背景の中、パッチ管理をサービスとして提供する MSP は、クライアントのシステムを常に最新かつ安全な状態に保つことで、進化し続ける脅威に対してプロアクティブな防御策を講じることができます。鍵となるのは、ベストプラクティスと適切なツールを導入することです。

市場で差別化を図るために不可欠なサービス

パッチ管理をサービスポートフォリオに加えることで、戦略的パートナーとしての価値が高まるだけでなく、以下のようなメリットも得られます。

  • その他付加価値サービスへの入り口となる:効率的なパッチ配信を行うことで、サイバーセキュリティやコンプライアンス関連の追加ソリューション導入につながります。
  • クライアントとの関係を強化:保護に欠かせないサービスを提供することで、信頼関係の構築に役立ちます。
  • 評判を維持する:パッチ未適用によるインシデントを未然に防ぐことができます。
  • サービスの差別化:他社と一線を画す、包括的なサイバーセキュリティ対策の提供が可能になります。

とはいえ、明確な手順や信頼できるテクノロジがなければ、パッチ管理は煩雑でストレスの多い業務になりがちです。ここでは、このサービスをうまく提供するためのベストプラクティスを紹介します。

優れたパッチ管理サービスのためのベストプラクティス

自動化と標準化を図る

よくあるミスは、パッチ適用を手作業で行なったり、バラバラの手順で行うことです。これは非効率で、対応漏れを招く恐れがあります。自動化を取り入れることで、ヒューマンエラーを最小限に抑えながら、技術チームに過剰な負担をかけずにサービスを拡張することが可能です。時間の節約だけでなく、さまざまな規模のクライアントに対して迅速かつ確実にパッチを適用できるようになります。

  • パッチの検出:OS やサードパーティ製アプリケーションを対象に、各デバイスの重要なアップデートを自動的に特定・適用できるソリューションを活用。
  • テストと承認のプロセス:影響の大きいパッチは、広範囲に展開する前に、制御された環境で検証できる体制を整えておくことが重要です。
  • レポートとログ:トレーサビリティは欠かせません。「どのパッチを」「いつ」「どのデバイスに」適用したかが明確に示されるレポートを提供できるのが高度なパッチ管理ツールであり、規制対応にも役立ちます。

重大な脆弱性に優先的に対応する

すべてのアップデートが同等の緊急性を持つわけではありません。リスク評価を実施し、影響が大きい、あるいはすでに悪用されている脆弱性を特定することが大切です。これにより、クライアントを守ると同時に、チーム内のリソース活用も最適化されます。

  • 医療や金融などの重要インフラに関わるクライアントには、継続的な監視、自動的な脆弱性の特定、迅速な展開が必要です。
  • 古いソフトウェアやサポート終了(EOL)のアプリケーションがインストールされた端末は攻撃の格好の標的となるため、優先的にパッチ適用を行うべきです。

継続的な監視

効果的なパッチ管理は「一度適用すれば終わり」ではありません。リアルタイムの監視を行うことで、以下のような対応が容易になります。

  • 展開を行った後に随時公開されるアップデートを即座に検出する。
  • パッチ適用後に発生した問題や競合を特定し、必要に応じてロールバックする。
  • パフォーマンスや安定性を測定し、パッチ適用のプロセスがクライアントの日常業務に影響を与えないよう管理する。

専用ツールの導入

パッチ管理を効果的に行うには、クライアントのセキュリティと業務の継続性の両方のバランスを取る必要があります。そのためには、パッチ管理専用に設計されたツールを導入することが不可欠です。たとえば、WatchGuard Patch Management は、パッチの検出・テスト・展開・レポートを一元的かつ自動で行うことで、人為的ミスや業務への支障を最小限に抑え、作業を大幅に簡素化します。これはクライアントにとっても、技術チームにとっても、大きな助けとなります。

パッチ管理は、広義にけるサイバーセキュリティおよび事業継続戦略の、中核として捉えるべきです。インシデントが起きてからの対応では手遅れです。MSP や VAR は、進化を続ける脅威に対してプロアクティブに防御を行う姿勢が求められています。