Google と Facebook との因縁深い Clearview AI 社 のスクレイピング
2020 年 2 月 7 日 Trevor Collins 著
Techspot で報告されているように、インターネット上にある顔の情報をスクレイピングしているスタートアップ企業のClearview AI 社 に対し、Google と Facebook は、両社の Web サイトのスクレイピングをさせないように動いています。Clearview AI 社はこれらの情報を、法執行機関が犯罪者や犯罪被害者の特定を行うツールの作成に使用している、と主張しています。Google はスクレイピングの停止を求めていますが、Facebook は現時点では様子見にとどまっています。おそらく Facebook による顔認識の設定の扱いをめぐって起きた直近の集団訴訟を受けてのことかもしれません。Clearview AI 社 は、同社が行っているスクレイピングは、Google と Facebook が行っているスクレイピングと同じだと主張しています。この主張について詳しく見ていきましょう。
Google は Web サイトの情報をスクレイピングしているのと同じように、Clearview AI 社 は Google 傘下の YouTube をスクレイピングしています。Google は Web サイトに関するメタデータ(データに関するデータ)を保存し、Clearview AI 社は顔に関するメタデータを保存します。Google はまた、ユーザに関するデータを他のソースからも集めています。そこには顔の情報も含まれています。どちらも、データ収集の方法は似通っています。Google はスクレイピングしないようにリクエストがあった場合、Web サイトや顔の情報をスクレイピングしませんが、他の誰かが Web サイトをスクレイピングしたのちに、Google がそのサイトからスクレイピングした顔の画像を集める、ということは可能です。オリジナルに関するメタデータを受け取ることも可能です。ほとんどの場合、Google がサードパーティから集めたこのデータを、法に則った手段で消去することはできますが、Google を通して直接行うことはできません。
Clearview AI 社のスクレイピングは、Google のスクレイピングと同じだと言えるのでしょうか? Clearview AI 社は、停止を求められた後も、Google と Facebook の Web サイトのスクレイピングを続けています。加えて Clearview AI 社 は、ある個人を特定するのに十分な顔に関する情報を保存しますが、Google は許可を得ない限り、個人を特定するようなスクレイピングはしません。確かに Google が持つデータを相互参照することで、多くの場合個人は特定されますが、それは Google が持つ他のデータと組み合わせた場合です。筆者は Google が集める全ての情報に賛同しているわけではありませんが、Clearview AI 社 はユーザにサービスを提供しているわけではなく、何かの価値を引き換えにしているわけではありません。
Google と Facebook は、ユーザに容認される範囲のギリギリの境界線上で情報を収集しており、時に一線を越えることもあります。前述の集団訴訟がその例です。しかし筆者にとっては、Clearview AI 社 は、顔認識データを許可なしに集めることは違法とされているイリノイ州において、明らかにその一線を越えています。
Google の顔認識に関しては、http://photos.google.com/settings にある「似た顔をグループ化」で設定を変えることも可能です。またこちらのアドレス(https://www.facebook.com/help/187272841323203?helpref=faq_content)から、Facebook の顔認証の設定を無効にすることも可能です。
今日では自分の情報を一切渡さずにインターネットを使うことは難しいものの、信用できるサイトを使い、ポリシーや設定を見直すことで、ほとんどのプライベートデータを外部に漏らさないようにすることは可能です。