相次ぐ Clearview AI 社に関する報道
2020 年 3 月 5 日 Trevor Collins 著
最近筆者は、Clearview AI 社についての 記事 を書きました。この会社は顔認識ソフトウェアを法執行機関に販売している会社で、数十億枚の写真を保持してソフトウェア内で使用しています。Twitter、YouTube、Facebook を巡回することで、顔の画像をデータベースに取り込んでおり、それに対抗して先月 Twitter、 YouTube、Facebook 各社は、その停止を求める通告書を出しました。
ソーシャルメディア大手の要求に関するこのニュースが報道された数週間後、今度は Clearview AI 社のデータ侵害に関するニュースが表沙汰になっています。おそらく法執行機関などを含むと思われる、Clearview AI を利用するクライアントのデータが侵害されているとのことです。幸い Clearview AI 社によれば、顔認識データは一切漏洩していないとのことです。Clearview AI 社はどのようにして侵害が起きたかについては述べていませんが、侵害を受けたサーバがないということから、顧客データベースが外部から適切に保護されていなかったのではないかと思われます。
侵害のニュースが発表されてから、Clearview AI 社の CEO Hoan Ton-That 氏は CNN Business に対し、「偉大なアメリカの会社」を「最高の志」を持って作りたい、と述べています。データベースを作成したのは犯罪者を捕まえるためだということですが、そのデータベースはインターネットからユーザの写真を盗んで作成しているので、それ自体が非倫理的な行為です。データ侵害のあと Clearview AI 社の弁護士 Tor Ekeland 氏は、「残念ながら、人生においてデータ侵害は避けられないことです」と述べています。
Clearview AI 社は Apple の開発証明書を使用してアプリを複数の企業に配布していますが、これは Apple の開発者契約で許可されていない行為です。先週 Apple はこれにより、Clearview AI 社を告発しています。Clearview AI 社に関する報道はこのところ相次いでおり、すでに評判が良くない顔認識ソフトウェアというものに対し、さらに悪いイメージを作り出しています。
顔認識は、適切に正しい理由で使われる場合には有用ですが、Clearview AI 社のような企業が、その潜在的な危険性を示す結果となっています。顔認識を利用する巨大企業が、この新技術を適切に自制して利用するよう願うばかりです。さもなければ、企業が顔認識を非倫理的な目的に使用し、顔認識そのものが全面的に禁止となる恐れもあります。そうなった際には、違法な企業だけが、顔認識を悪意のある目的のために使用することとなります。