2018/08/13

人工知能について考える(第 1 部:現在の大ブーム期を迎えるまでの歴史)

頭脳,機械学習,脳,学習
2018 年 8 月 13 日 Stephen Helm 著

人工知能に関する全 3 回の連載記事をお届けします。今回は、その最初の記事です。

人工知能(AI)は広義では、変化する状況に適応し、通常であれば人間の知能を必要とする処理を実行するコンピュータシステムの開発プロセスと定義されます。多くの人は、最近の流行語の 1 つと考えますが、少なくとも 1950 年代頃には、人工知能(AI)の概念が登場していました。アラン・チューリングを始めとするコンピュータの先駆者は、将来的にはコンピュータが人間と同じ仕事をできるようになり、チェスの対戦のような「知的な」こともできるようになると確信していました。この 60 年間にコンピュータテクノロジの進歩によって大量のデータセットの分析が可能になり、新しい用途への扉が開けたことで、AI を取り巻く環境が大きく変化しました。

この 20 年間で、AI の性能が飛躍的に進歩しました。

1997 年に IBM のディープ・ブルーがチェスの世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフ氏に勝利し、2011 年には同じく IBM の AI であるワトソンが Jeopardy というクイズ番組でチャンピオンのブラッド・ラター氏とケン・ジェニングス氏を破ったことは、AI がテクノロジとして確かな地位を築いたことを示す代表的な例と言えるでしょう。

今日、我々の日常生活の次のようなさまざまな場面で、AI の要素が活用されています。

  • Uber や Lyft などのライドシェアアプリでは、AI や機械学習を使って乗客の需要を予測し、到着の時間を推定し、過去の数百万もの乗車場所の成功例や失敗例に基づき、乗客に乗車場所を提案しています。
  • スマートフォン経由での小切手の支払いでは、AI や機械学習の複雑なシステムがなければ、小切手の手書きの文字を正確に読み取り、テキストに変換することはできません。
  • ビデオゲームでは、プレイヤーのチャレンジを難しくするために古くから AI の要素が使われており、最近では、対戦相手とやり取りしたり、勝利の確率を高くするために過去の対戦を学習したりできるようになりました。
  • Spotify、Netflix、Pandora の音楽や映画のお勧め機能では、簡単な AI システムを利用して新しい作品を視聴者に提案しており、この提案には、視聴者の好みや過去の意見が反映されています。
  • 投資管理においては、投資目標や投資家のリスク許容度に応じた金融ポートフォリオの開発や市場の変化に応じたリアルタイムのポートフォリオの管理で、AI が最大限に活用されています。
  • チャットボットやバーチャルアシスタントは現在、多くの企業のカスタマサービスの最前線で利用されており、採用からテクニカルサポートまでのあらゆる仕事を担うようになりました。

AI は今や、我々の生活に不可欠な要素となっており、AI テクノロジの採用が今後数年でさらに加速するのは間違いありません。事実、PWC による最近のレポートは、AI の総合的な経済効果が 2030 年までに 15 兆 7,000 億ドルに達すると予測しています。

しかしながら、自動化による雇用機会の損失や運転などの複雑な仕事をコンピュータが行えるようになることへの恐怖といった理由から、AI の採用と成長が多くの人にとっての大きな懸念事項となっているのも事実です。

来週の第 2 回の記事では、AI の急増による潜在的な落とし穴として、AI の活用によるサイバー犯罪の増加などの問題を取り上げる予定です。

参考資料(英語)

  • Tech Emerge – 人工知能と機械学習の日常生活の活用例
  • Beebom – 人工知能の日常生活での 10 の活用例
  • Wikipedia – 人工知能の応用
  • Forbes – 日常生活への人工知能の影響
  • PwC – PwC による人工知能に関するグローバル調査:AI のビジネス効果