2018/08/24

仮想通貨の基礎知識

coin, bitcoin
2018 年 8 月 24 日 Marc Laliberte 著

ビットコインという言葉を誰もが知るようになり、他の仮想通貨の名前も耳にするようになりました。仮想通貨の人気が昨年末までに急上昇し、ビットコインや他のオルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)の市場価値が過去最高の 1 コインあたり 20,000 ドルに達しました。市場はやや落ち着きを取り戻したようにも思えますが、仮想通貨やその基盤となるブロックチェーンを取り巻く環境の盛り上がりはまだまだ収まりそうにありません。

ブロックチェーンテクノロジには、著作物の配布の保護からデジタルコインの収集や取引までの多くの用途があります。しかしながら、最も一般的な用途は、分散型公共台帳、すなわち、一般的な用語で言えば、仮想通貨ということになるでしょう。

デジタル通貨という考え方は、かなり前からありましたが、実用化する問題の 1 つとして、同じデジタルマネーを 2 回の支払いにすることを意味する、「二重支出」と呼ばれる概念がありました。一般的には、文書や MP3 などのデジタルファイルのコピーを防ぐ技術的な砦は存在しません。デジタル仮想コインが単なるコンピュータ上のファイルであったとしたら、そのファイルを何回でもコピーすることで自分のお金を印刷できてしまいます。2009 年に、サトシ・ナカモトという匿名の個人(またはグループ)が、この二重支出の問題を解決する手段として、ビットコインを発表しました。

最も単純な形式のビットコインは分散型公共台帳ですが、これはどういう意味でしょうか。単語に分解して、説明することにしましょう。

  • 台帳:ビットコインのブロックチェーンは、個人間のデジタル「コイン」の取引を追跡します。A さんが B さんに 1 ビットコインを送金した場合、その取引は、ビットコインネットワークでアナウンスされ、検証チェックに合格すると、恒久的に台帳に書き込まれます。
  • 公共:「ノード」をセットアップすることで、誰でも台帳の自分のコピーを取得できます。ノードとは、ブロックチェーン上の単なるコンピュータまたはサーバであり、取引の受け取り、検証、さらに台帳への追加を担当します。この、取引の検証と追加のプロセスを「マイニング」と呼びます。
  • 分散型:台帳は、数千、場合によっては数万のノードに存在します。これらのノードのそれぞれに台帳の固有のコピーが維持され、常にネットワークと同期することで、コピーが同一であることを保証します。

ビットコインを購入する人がファイルやその他のデジタル資産を受け取るのではなく、台帳には、そのアカウント、すなわち「ウォレット」が別のアカウントからビットコインを受け取ったことだけが記帳されます。ほとんどの仮想通貨は非対称暗号を使用しており、ウォレットは公開暗号鍵の別の呼び方に過ぎません。ウォレットの所有者は、自分だけが知っている自分の秘密鍵で取引に署名することで仮想通貨を送金できます。ブロックチェーンノードは、対応する公開鍵で取引を検証することで、所有者が実際にそれを送金した人であることを確認できます。セキュリティについては、公開鍵を知らない限り秘密鍵を復元するのが計算上困難である(最新のコンピュータを使ってもほぼ不可能である)という事実に基づくものです。

ビットコインや他の仮想通貨のウォレットに、攻撃に対する完全な耐性があるわけではありません。パスワードの強度が十分でなければ、マルウェアにウォレットの秘密鍵を盗まれ、資金を根こそぎ盗まれてしまう可能性もあります。フィッシング攻撃についても、他の攻撃対象と同様に、仮想通貨が標的になる恐れがあります。今年の 2 月に発生した、有料広告を使った極めて巧妙なフィッシング攻撃では、5,000 万ドルを超える仮想通貨が盗まれました。多くの専門家が「コールドウォレット」、すなわち、インターネットにアクセスしたことのないコンピュータやデバイスで生成するウォレットの使用を推奨しているのは、そのためです。

仮想通貨の決済手段としての定着が進むものと思われますが、ビットコインが仮想通貨の王者であり続けるかどうかについては、予断を許さないところです。仮想通貨に関する次回の記事では、3 つのコイン(オルトコイン)を取り上げ、ビットコインとの違いを解説する予定です。