2015/08/20
802.11ac Wave 2 を買うべきかどうかを判断するヒント
2015 年 8 月 20 日 RYAN ORSI 著
最新の Wi-Fi 標準規格である 802.11ac が登場し、Wave 1(第 1 世代)と Wave 2(第 2 世代)に二分されました。Wave 1 についてはすでに製品が出回っていますが、Wave 2 の一般ユーザー向けルーターや法人用アクセスポイントの出荷も最近になって始まりました。以上の現状を前提に、これら 2 つの標準に関して知っておくべきことをまとめました
まず初めに、Wave 2 と Wave 1 の 2 つの大きな相違点を知っておくことが重要です。
- MU-MIMO(Multi-User MIMO)では基本的に、Wave 2 のルーターや AP(アクセスポイント)が複数のクライアントと同時に通信できます。Wave 2 より前の標準では、AP は同時に 1 つの無線クライアントを処理していました。つまり、各無線デバイスは、他のすべてのクライアントとの間で順番待ちをする必要がありました。MU-MIMO には、無線の占有時間(必要となる無線時間)が短くなるという効果があります。必要となる無線時間が少ないほど、メール添付のダウンロード時間が短縮され、Instagram の重要な写真を短時間で取得できるため、Wi-Fi ユーザーの満足度が向上します。
- Wave 2 では、160MHz 帯域幅のチャネルがサポートされています。帯域幅が広ければ、間違いなくダウンロード時間は短縮されます。
Wave 2 のルーターやアクセスポイントを急いで買う必要があるのでしょうか。
今すぐ飛びつく必要はまったくないというのが私の意見で、その理由は以下のとおりです。
- ルーターやアクセスポイントは(スマートフォンの基地局と同様に)インフラストラクチャです。インフラストラクチャには、やり取りする相手、すなわち、クライアントデバイスが必要です。そのため、Wave 2 のメリットを活かすためには、使用するラップトップ、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの端末が Wave 2 無線チップを使用する必要があります。Wave 2 のクライアントの出荷は 2016 年にようやく本格化し、Wave 2 を大半のクライアントがサポートするようになるまでにはさらに時間がかかると予想されます。
- 一般ユーザー、特にゲームユーザーの場合は、160MHz チャネルの帯域幅によって勝率が上がるかもしれませんが、それ以外のユーザーの場合は、大差はないでしょう。それは、1 つのクライアントのスピードは上がったとしても、グループ全体のスピードが大きく変わるわけではないからです。スーパーマーケットにあるショッピングカートの幅に例えてみましょう。仮に、身長ほどの幅がある巨大なカートがあったとすると、通路を 1 台しか通れなくなって、売り場全体としてはカートが移動できる速度が逆に遅くなります。ところが、すべてのカートが 50cm 程度であれば、同時に 3 台のカートが通路を通れるようになり、みんながスムーズに移動しながら買物できるようになります。
結論としては、802.11ac Wave 2 を買うべきかどうかをあれこれ悩むのを止めて、現段階では、Wave 1 のルーターや AP を購入することをお勧めします。Wave 2 に今すぐ飛びつかなくても、トレンドに乗り遅れてしまうわけではありません。
— プロダクトマネージャー、Ryan Orsi (@RyanOrsi)
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