ウォッチガードの 2016 年セキュリティ動向予測(10) – ハッカーによる生中継
2015年 12月 16日 COREY NACHREINER 著
人目につかずに悪巧みをするサイバー犯罪者とは異なり、ハクティビストは、大げさなメッセージを大々的に発表しようとするものです。ハクティビストによるサイバー活動の本質は、最も効果的な方法と場所を使って、できるだけ多くの人にメッセージが伝わるようにすることにあります。
セキュリティ動向予測のリンク:https://youtu.be/EEbqr-2XFRk
アノニマスはこうしたグループの良い例で、スーツを着てガイ・フォークスのマスクをつけた男が、劇中歌のような音楽をバックにひずんだ声で話すビデオがたくさん公開されています。アノニマスによる「作戦」は、いずれも注目を集めることを意図しています。新興宗教のサイエントロジーに対する攻撃、クレジットカード会社に対する DDoS、Web サイトの改ざん、反対勢力への誹謗中傷などのいずれの活動でも、最終的な目標は、注目を集めることにあります。そう考えると、生放送のテレビ電波をハイジャックする以上に効果的な方法があるでしょうか。
ハクティビストは注目を浴びる動画を公開することで知られていますが、さらに多くの注目を集めることが確実な、生放送のテレビやラジオをハイジャックしたことはありません。映画やテレビと言うと、「l33t h@x0rs」の電波の乗っ取りを想像してしまいますが、ハクティビストの動画は今のところ、誰でも投稿できる YouTube に限られています。テレビ放送のハッキングと聞くと、サイエンスフィクションのように思いがちですが、前例がないわけではありません。1980 年代には、覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、マスクをつけた男がシカゴのいくつかのテレビ局を数分間乗っ取ったことがありました。テレビ局でも当時よりセキュリティが強化されていますが、フランスの TV5Monde でデータ漏えいが発生したことからもわかるように、放送局が攻撃されて電波を乗っ取られる可能性は依然として残されています。
来年は、世界規模でメッセージを放送するような大掛かりなサイバー攻撃が発生すると予測しています。たとえば、スーパーボウルやワールドカップの開催中にスタジアムの大型スクリーンを乗っ取ったり、タイムズスクエアにある大型テレビをすべてハイジャックしたりするかもしれません。そして、ハクティビストにとっての最終的な目標は、主要 TV ネットワークの生放送を乗っ取ることでしょう。いずれの方法であっても、ハクティビストによる全世界に向けた大掛かりなライブ映像がテレビ放送されることが予想されます。